操法とは、消火活動の基礎中の基礎となるものです。
防火水槽に給水管を入れてポンプで水を引き揚げ、その間にホースを火点へ伸ばし、準備ができたら放水する…。
この消火活動の一連の流れを、いかに正確・迅速・綺麗にするかを競う物です。
徳島市消防出初式では、毎年徳島市消防団全19分団から1分団が担当となり、これを展示しています。
本来操法は一律の基準に則りますが、徳島市消防出初式では分団ごとに趣向を凝らした操法が展示されています。
消防操法の基準(昭和47年5月10日 消防庁告示第2号)・抜粋
第3編 消防ポンプ操法(第64条~第86条)
第2章 ポンプ車操法(第69条~第80条)
第2節 ホースカーによるホース延長操法
(操法の開始)
第75条 ホースカーによるホース延長操法を開始するには、次の号令及び容量による。
1. 指揮者は、「操作始め」と号令し、四番員の「よし」の合図で下車し、つづいてポンプ車のうしろにいたり、ホースカーの右側ふくを両手でもち、一番員及び二番員と協力してホースカーをおろしたのち、ホースカーが前進して第二ホースが延長されたとき、「とまれ」と号令する。
2. 各隊員は、四番員の「よし」の合図でいっせいに下車する。
3. 一番員は、ポンプ車のうしろにいたり、ホースカーのえんぴを左手で、えん木を右手でもち、指揮者及び二番員と協力してホースカーをおろしたのち、第31条第2号に定める前操車員の操作を行い、ホースカーから筒先をはずし、筒先を両手でもって左足を一歩前にふみだし、二番員と相対して筒先を第三ホースに結合し、「放水始め」と合図し、火点に向かって前進し、注水姿勢をとる。
4. 二番員は、ポンプ車のうしろにいたり、ホースカー積みおろし用レールを引きだし、ホースカーの左側ふくを両手でもち、指揮者及び一番員と協力してホースカーをおとしたのち、第31条第3号イに定める後操車員の操作を行い、第三ホースのおす金具を両手でもって左足を一歩前にふみだし、一番員と相対して第三ホースを筒先に結合し、つづいて放水開始の伝達を行ったのち、同号ロに定める後操車員の操作を行い、一番員の反対側一歩後方で注水補助を行う。
5. 三番員及び四番員は、それぞれ第69条第1項第5号及び第6号に定める要領により操作を行う。この場合において四番員は、適宜ホースカー積みおろし用レールをおさめる。
今回のポンプ車操法は、渭北地区にあるビルで火事が発生した、という中高層火災を想定。
火災を発見した市民によって119番通報がなされ、通信指令室が渭北分団に出動指令を出します。
渭北分団員は直ちに集合し、火災現場へ緊急走行で駆けつけます。
ポンプ車の後方で整列し点呼をとった後に、指揮者は徳島市消防団長に操法の実施を報告します。
隊列に戻った指揮者は、隊員達に「火点は前方の標的、水利はポンプ車右側後方防火水槽……」と想定を伝えます。
指揮者による「操作始め」の合図と共に、時間との戦いがスタート。
実際の火災では、たった1秒が、その後の火炎の勢力や人の生命を左右します。
操法や訓練においても同じで、たった1秒でも無駄にしない為に、常に全速力で駆け抜けます。
まず三番員と四番員は、吸管と呼ばれるホースを防火水槽まで伸ばして消防水利を確保します。
その間に指揮者・一番員・二番員はホースカーを引っ張り、素早くホースを伸ばします。
ホースをある程度伸ばした所で、分岐金具と呼ばれる器具を挟んでから更にホースを伸ばし、今後の更なる放水に備えます。
管鎗と呼ばれるホースの先につける器具を結合し準備が完了した一番員は、二番員に「放水始め」と伝えます。
二番員は復唱して確認し、ただちに四番員(機関員)へ放水開始の旨を伝令に走ります。
入れ違いに、吸管措置を終えた三番員が鳶口を持って火点に向かいます。
放水による水圧は凄まじく、一番員の負担を軽減する為、伝令を終えた二番員は一番員の放水補助に当たります。
放水を開始しましたが、火勢が強く一向に火災は収まりません。
そこで指揮者はもう一線ホースを伸ばして放水する様に指示し、二番員と三番員がすぐに第二線の延長に当たります。
こうして2線のホースによる放水と鳶口による破壊消防によって、火災は無事鎮火しました。